運ぶ人・the Carrier

Bangkok, Thailand

運ぶ人

気づけばチャイナタウンに足繁く通うようになり、「運ぶ人」を追いかけるようになった。 単純にモノを「運ぶ」という行為を生業とする人たちがいる。独特な同族意識は、ある意味で彼らを一般社会から孤立させているようにも見えた。 街と馴染んでいるようで、どこか浮いている。誰もが何かモノを手にすれば、そこに「運ぶ人」の痕跡が残る。それでも彼らとすれ違うとき、多くの人はその存在に気づく様子もない。 まるで別の世界線を行き交っているように。

運ぶ人

しかし、彼らのような存在なくして、この街の発展は起こり得なかった。 バンコクの魅力は、いつも矛盾を前提としている。その象徴とも言える「運ぶ人」を撮った。当初は自分自身で理由も分からないで、それでも何故か彼らのことが気になり、何度も撮影を続けた。 そして、その過程を通じて彼らのような存在こそが、バンコクという都市を形作っていると思うようになった。 光の当たらないような場所にこそ、その街の輪郭を捉える手がかりがある。きっとどんな都市においても言えることのように思う。 このプロジェクトを通じて、自分がなぜ写真を撮るのか、その根本的な理由が少し分かった気がした。

運ぶ人

運ぶ人

------- 写真展のご案内(DM) -------
運ぶ人

運ぶ人

運ぶ人

------- Kento Nobuta -------

カメラを持ったフラヌール(Flâneur)。都市の中を散歩し、観察し、撮影する。 これまでメキシコシティ、ブエノスアイレス、ナポリ、ハノイなど各都市で作品制作を行う。 2024年4月にはスペイン・マドリードのÖss Kaffeにて個展を開催。 2025年7月には名古屋市の堀川ギャラリーにて、本作品『運ぶ人』の展示を行う。

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